「宜しくね、松山君。」
「ヨロシク。」
 松山が席に着くと隣の女子が声を掛け、その返事に嬉しそうに笑っていた。
 そして松山は反対を振り返って、隣の席のナツにも声を掛けた。
「ヨロシクな。」
「……」
 ナツが青白い顔で松山を見上げていた。
 松山は不思議そうに首を傾げる。
 俺は嫌な予感しかしない光景を爪を噛みながら見ているだけだった。

 休み時間になり、お約束の様に転入生が取り囲まれていた。
 それも女子ばっかりだ。
「どこから来たの?」
「ネット小説家って何?」
「誰を探してるの?」
「彼女いる?」
「好きなタイプは?」
 隣の席に居たナツが居心地悪そうに席を立ち、俺の所にやってきた。
「…マコト……」
 ナツが不安そうに俺を見詰める。
 俺は大丈夫だと言う風に一つ頷き、ナツの手を強く握った。
「大丈夫だ。何も言わなくていい。」
 ナツは力なく頷く。
 不安は拭い去れないらしい。
 ナツの事は俺が守らなければ。
 俺は浮かれて笑っている松山を睨む様に見据えたのだった。

 放課後、俺達は急いで帰ろうとした。
 そんな俺達を引き留めたのは、係わりたくない松山だった。
「なぁ、お前ら文芸部なんだろ。俺も入りたいから部室に案内してよ。」
 ナツが不安そうに俺を見る。
 俺は舌打ちしながら松山を見た。
「俺達はもう帰る。悪いが他のヤツに聞いてくれ。」
 戸惑っているナツの手を掴み、足早にこの場を去ろうとした。
 だが松山は手強かった。
 ナツの反対側の手を掴み、畳み掛ける様に言った。
「おいおい、それって冷たくないか?転入生には優しくしないといけないと思うぞ。なぁ、ナツ?」
「えっ?」
 いきなり名を呼ばれたナツが驚きに足を止めて松山を見た。
「同じクラスに同じ部活なんだから仲良くしようぜ。な、ナツ。マコト。」
 俺まで呼び捨てだ。
 気に入らない。
「…何で……?」
 ナツが不思議そうに問い掛けた。
 松山は笑顔で答えた。
「女子が教えてくれたんだよ。お前がナツでこっちがマコト。二人とも文芸部だって。」
 そこまで言って松山は表情を改め、声をひそめて俺達だけに聞こえる様に言った。
「ナツとマコト。俺が探してるのは夏野真。お前ら知ってるだろ。」
 どうする?誤魔化すか?
 誤魔化す為の言葉を発しようとした俺を、ナツの言葉が遮った。
「どうして分かったの?」
 観念するしかなくなり、俺はガックリと項垂れた。
















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