大叔父とギャビーの二人の世界を壊したのは、ハルの呻くような低い声だった。
「部屋に戻ってもいいですか?」
「あ、あぁ、いいが、彼女たちの事は理解してくれただろうか?そして許してくれるだろうか?」
 ギャビーは顔を引き締めて、ハルへと視線を向けた。
「少し、考えさせて下さい……」
 俯き覇気のない声に、ギャビーは分かったと頷いた。
「色々と驚かせてすまなかった。今夜はゆっくりと休んでくれ。」
 カズイもハルと共に大叔父達の部屋を後にした。
 そして自分達の部屋にむかい、気まずい沈黙の中を二人は無言で歩いた。
「それじゃあ、おやすみ。」
「…おやすみ……」
 顔色の悪いハルの横顔を、カズイは心配そうに眺めながら部屋へと戻った。
 昼間の肉体労働で疲れていたのに、今また精神的にも疲れてしまった。
 ハルの事を心配しながらも、カズイは疲れからすぐに眠ってしまった。
 夢の中、細く白い手に惑わされ、翌日更に疲れ切る事など何も知らないままに。

「皆さ~ん、朝食の準備が出来ましたよ~。」
 ロッタの元気な声に起こされたカズイは、寝る前よりも更に疲れている自分にげんなりした。
 そして寝過ごしてしまった自分に呆れた。
 身支度を整えて急いで食堂に赴くと、既に皆着席していた。
「おはようございます。遅れて申し訳ありません。」
「おはよう。よく眠れたか?」
 ギャビーの問いに、カズイは曖昧に笑みを浮かべた。
 そして自分の席に着き、隣のハルを見て眉をしかめた。
「ちゃんと眠れたのか?顔色が悪いぞ。」
 だがカズイの問い掛けにもハルは全く反応しなかった。
「皆揃ったな。では、いただきます。」
 ギャビーの号令で静かな朝食が始まった。
 カズイは暫くハルの様子を窺っていたが、ハルがカズイの方を見る事がなかったので、仕方なくカズイは周囲を見回した。
 大叔父はロクに付きっきりだった。
 隣のクロは一仕事終えてきたのか、額の汗を拭いながら朝食を食べていた。
 そして恐る恐る見たトキとハナは、何事も無かった様にこちらを見る事も無く静かに朝食を取っていた。
 ホッとした様な呆れる様な、何とも言えない複雑な感情を持て余したまま、カズイは焼き立てのパンを口にしたのだった。














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