部活終了後、俺はウキウキと保健室へと向かった。
 航達には先に帰って貰った。
 あのボサボサ魔人をギャフンと言わせ、今迄の憂さ晴らしをする気満々でドアをノックした。
「本日の営業は終了しました~。」
 またしてもやる気の無い、人を小馬鹿にした返事が聞こえてきた。
 俺はそれを無視してドアを強く開けた。
 ボサボサ魔人が億劫そうにこちらを振り返った。
「おっ、あの時のバスケ部の小僧じゃないか!いい所に来た!こっちへ来い!」
 ボサボサの前髪で顔が隠れているので表情は読み取れないが、俺の予想とは違う嬉しそうな声のボサボサ魔人に少し腰が引けた。
 だが、ここで負けてなるものかと思い直し、差し出された椅子に向かってずかずかと歩いて行った。
 偉そうにドスンと腰を下ろすと、ふんぞり返る様にしてボサボサ魔人を見据えた。
「お前、彼路君に何したんだ?正行を怒らせるなんて大したもんだ!詳しく聞かせろ!」
 ボサボサ魔人が口元を弓なりに反らせて、身を乗り出して聞いてきた。
 正行とは生徒会長の事だろう。
 俺はこんな事を聞かれるなんて思ってもいなかったので、戸惑い口籠った。
「え、何って…」
「おおかた寝ている彼路君を襲ったんだろ?」
 ボサボサ魔人に言い当てられ、俺は羞恥にカッと顔を赤くする。
「ハハハ、やっぱりな!そうだと思ったんだ!」
 ボサボサ魔人が腹を抱えて笑い出した。
 今度は怒りで顔を赤くして、俺は椅子から立ち上がって怒鳴り付けた。
「何でお前にそんな事言われなけりゃならないんだ!お前なんかに笑われる筋合いはない!」
 俺はハァハァと息を荒げ、ボサボサ魔人を睨み付けた。
「まぁまぁ、落ち着いて座れ。」
 ボサボサ魔人は俺の肩に手を置いて椅子に座らせる。
 そして何とか笑いを収め、肩の上の手をポンポンと叩きながら俺に話し掛けてくる。
「お前の気持ちはよ~く分かる。彼路君は確かに可愛い。だが残念ながらお前に脈は無い。諦めるしかないんだ。諦めてくれ。何なら俺が可愛い子紹介しようか?」
 俺は肩に乗っていた手を振り払い、冷たい目を向け冷静に対応した。
 昨日渚に言われ、ちゃんと彼路への気持ちに決着を付けといて良かった。
 そうでなければうろたえ、みっともない姿を晒す所だった。
「何言ってんだよ”魔法使い”が。”童貞”のお前に紹介なんて出来る訳ないだろ?」
 そうだ。俺はこれが言いたかったのだ。
 こうやってこいつをバカにして、積もりに積もった鬱憤を晴らしたかったのだ。
















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