「ごめんね、お待たせ。」
 声を掛けると、勇人達が目を見開いて彼路を見た。
 どうしたのだろうと首を傾げると、勇人が赤くなった頬を掻きながら口籠る。
「いや、あの、何か……」
「あのね、彼路君が急に可愛く見えたんだよ。」
 クスッと笑って、ハッキリと言い切ったのは渚だった。
「えっ?可愛い?」
「うん。何だか彼路君から幸せオーラ?みたいなものが溢れてて、紅潮した頬とか笑った唇が可愛い感じがする。」
「へ???」
 彼路は訳が分からないと言った顔で、目をまん丸にし余計に首を傾げる。
 その仕草も可愛く感じて、勇人は目を逸らし、渚は溜息をつき、航は苦笑を洩らした。
「生徒会長にクッキー渡せたの?」
 いつもは大人しい渚が話を振ってくる。
「うん。美味しいって喜んでくれた!」
「で、何か良い事あったの?」
「そうなんだ!明日会長が勉強を見てくれるって♪」
「えっ、それが良い事?」
 今まで赤い顔で目を逸らしていた勇人が聞き返してくる。
「うん!だって月曜からテストでしょ!」
「……」
 三人は先程より複雑になった顔を見合わせている。
「あのさ、生徒会長って、何か怖くない?」
 勇人が言いにくそうに聞いてくる。
「えっ?どこが?」
「何か独特の雰囲気があると言うか、近寄り難いと言うか…」
 彼路はキョトンとした顔で真面目に答える。
「いつも助けてくれるし、すごく優しいよ?」
「……」
 彼路が昨日、生徒会長に助けてもらった事は三人とも知っている。
 でも、そういう事ではないのだ。
 生徒会長の他人を寄せ付けない孤高の雰囲気が怖いのだ。
 普通の人には近寄れない、手の届かない雲の上の人の様なのだ。
 彼路はそれが分からない程鈍感なのだろうか?
 それとも、彼路には勇人達が知らない会長が見えているのだろうか?
 三人は複雑な胸中ながら、彼路に何も言う事なく、帰途に着く事にした。
 話題は自然と月曜からのテストの事になった。
 土曜に彼路が会長の所で勉強するなら、そこで教わった事を三人にも教えて欲しいと言う事で、日曜日にみんなで集まる事になった。
 場所は彼路の家に決まった。
 彼路の家の最寄り駅で待ち合わせする事にし、三人と駅前で別れた。
 三人の自転車に乗った後姿を笑顔で見送る。
 土曜日は友達(?)の家に行き、日曜日は友達を家に招待する。
 これまた初めての事ばかり。
 テストで憂鬱なはずが、テストの御蔭で楽しみが増えていく。
 これも会長の御蔭だ。
 早く家へ帰って、織田と明日の準備をしようと、彼路は帰る足を急がせた。
 















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