言ノ葉つづり ~ユメノユメ~

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2013年01月

 こちらはBLと言う空想ファンタジー小説を扱っております。
 18歳未満(高校生を含む)の方、BLと言う言葉に興味の無い方、嫌悪を感じる方等は閲覧を御遠慮下さい。
 また、本作品は全てフィクションですので、現実と虚構の区別のつかない方も御遠慮願います。
 当ブログ内全ての作品の著作権は作者にありますので、無断転載・転用を固く禁止致します。
 不適切だと判断したコメントは、断りなく削除することがあります。
 以上、御了承頂けた方のみお楽しみください。
 更新は毎日午前零時です。

初恋 -恋に落ちる- 27


「ただいま。織田、お客様をお連れしたよ。」
「こんにちは。おじゃまします。」
「こんにちは。いらっしゃいませ。どうぞ。」
 皆がそれぞれ挨拶し、家へと上がっていく。
 彼路の体の事や家の事情は簡単に話してあった。
 リビングに着くと、渚が織田に何かを手渡した。
「今日は朝からお邪魔してすみません。これ、僕達からの御土産です。どうぞ。」
「わざわざ有難うございます。」
「あの、僕達買い出ししてきたので、織田さんは気を遣わずにゆっくりお休みになっていてください。勉強の場所を提供してもらっただけで十分ですので。」
 その言葉を聞き、織田は笑顔になって彼路を見た。
「それじゃあ、御言葉に甘えて下がらせて頂きます。部屋にいますので、何かありましたら声を掛けて下さい。では、皆さん、勉強頑張って下さいね。」
 織田は嬉しそうに自室へ戻って行った。
 昨日といい、今日といい、いつもにも増して御機嫌だ。

 織田がいなくなると、皆は買ってきた品物を広げだした。
 渚は紙コップに皆の飲み物をつぎ、勇人は早速ポテチの袋を開けている。
 航だけは持ってきた勉強道具を出している様だった。
「昨日、会長に何教わって来たの?」
 渚が紙コップを手渡しながら聞いてくる。
「あ、過去問を解いて、重要なポイントを教えてもらったんだ。」
「え、過去問なんかあるの?ラッキー!」
 勇人がポテチを頬張りながら、嬉しそうに口を挟む。
 彼路はコピーしておいた皆の分のプリントを持ってくる。
 三人は受け取ったプリントをチェックし、それぞれ苦手科目を重点的に勉強する様だ。
 お菓子を食べながら。
 彼路は今まで、何か物を食べながら勉強をした事など無かった。
 だから、三人の行動に唖然とするしかなかった。
 呆然と三人を眺める彼路に、勇人が不思議顔で尋ねる。
「なぁ、彼路は勉強しないの?」
「え、あ、するよ。」
「お菓子は何食べる?」
「……」
「ポテチはやっぱノーマルなうす塩がお薦め。あと、チョコとかアメとかもあるけど、どれが良い?」
「…僕は今はいいよ。後でもらうね。」
「あれ?もしかして食べながらは勉強しない人?」
 三人が一斉にこちらを向いた。
「あ、うん…」
「ごめん、俺達いつもこうやって勉強してたから、ついいつもの癖で…」
「あ、ううん、気にしないで。僕、友達と一緒に勉強した事って無かったから、こんな風にするの初めてで、ちょっとビックリしただけだから。」
 気まずそうに彼路が俯き加減でつぶやく。
 だけど勇人は気にした風も無く、明るい笑顔で返す。
「じゃあさ、こういう食べながらの勉強にも挑戦してみなよ。きっと楽しいと思うよ。」
 三人が優しい瞳で彼路を見守っている。
 何事もチャレンジだと決心し、彼路は机の上のお菓子に手を伸ばす。
「それじゃあ、アメを一つもらうね。」
「そうそう、その調子。」
 その場にいる全員が笑顔になり、みんなでお菓子を頬張る。
 彼路は勉強に集中できるのか疑問に思いながらも、楽しんで行う勉強を体験するのだった。















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初恋 -恋に落ちる- 26 (Hiro)

--- side Hiro ---



「ねぇ、飲み物はオレンジジュースでいい?」
「あっ、俺コーラ!」
「勇人には聞いてないよ。彼路君に聞いてるんだよ。」
「…あの、僕は何でもいいです…」
「じゃあコーラ!」
「もう、勇人はうるさい。それじゃあ、オレンジとコーラの2本入れるよ。航もいい?」
「あぁ。」
「あっ、こらっ、勇人!ポテチばっかりカゴに入れるな!」
「いいじゃん、ポテチシリーズ全制覇!味比べが出来るぜ!」
「そんなの誰もしたくない!」
「そんな事ない!してみたいよなぁ、彼路!」
「えっ、あの…」
「彼路君が困ってるじゃないか。勇人はもう選ばなくていいから。航、勇人をあっちに連れて行って。」
「えー、渚のケチー。意地悪ー。いじめっ子ー。」
「はいはい、分かったからあっち行っててね。ごめんね彼路君。お菓子何にする?」
「あ、何でも…」



 今日は皆で勉強会だ。
 約束の時間に、三人は一緒に電車から降りてきた。
 彼路は笑顔で迎え、家へと案内する。
 途中でコンビニに寄りたいと言われたので、ここに来た。
 コンビニには織田と何度も来た事がある。
 だけど、こんなに賑やかなのは初めてで、彼路は呆気に取られていた。



「こんなもんでいいかな?彼路君、他に欲しい物ない?」
「あ、はい。ありません。」
「よし、じゃあお会計して来るから、彼路君も勇人達の所で待ってて。」
「あ、僕もお金出します。」
「いいのいいの。彼路君の家にお邪魔するんだから、これは僕達からの差し入れ。気にしないで。」
「え、でも…。」
「気にしない、気にしない。友達でしょ。」
「あ、ありがとうございます。」
 彼路はうっすらと頬を染めながら、お礼を言う。
 『友達』との関係、距離間が彼路にはよく分からない。
 だから『友達でしょ』と言われると、何も言えなくなってしまう。
 そして、これが『友達』なんだと改めて思い、嬉しさに胸が一杯になってしまう。

 買い物を済ませた渚は、荷物を勇人と航に持たせて、彼路の背を押し、コンビニを出た。
 荷物持ちの二人を後ろに従え、渚と彼路は前を歩く。
 勇人はコーラとポテチが大好物だと言う事が分かった出来事だった。
 そして、三人の力関係も見えた気がする彼路だった。















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初恋 -恋に落ちる- 25


 夕食も滞りなく進み、織田さんにも色々な話を聞く事が出来た。
 正行の印象も良かったようで、「これからもいつでも遊びに来てください。彼路さんの事宜しくお願いします。」と頼まれてしまった。
 少し後ろめたかったが、ペットを守るのは飼い主として当然だし、いつも一緒にいたいので、好都合だった。
 和やかな夕飯の後、正行の御土産でデザートにした。
 この時、彼らの好みが如実に現れた。
 彼路はいちごのショートケーキに跳び付き、織田さんは迷いなくモンブランを選んだ。
 彼路はチーズが苦手な様で、チーズケーキを織田さんに押し付けている。
 必然的に正行はチョコレートケーキになったが、もう満腹だと辞退した。
「ケーキとプリン、どちらが好きなんだ?」
 素朴な疑問を正行は問い掛けた。
 すると考える間もなく「プリンです!」と言う明瞭な答えが返って来た。
 苦い顔をする正行を見て、彼路が慌てて言い訳を始める。
「あっ、でも、プリンはいつも自分で作るので、自分で作れないケーキはとっても嬉しいです。特にいちごのケーキは大好きなので!」
 彼路が美味しそうにいちごを頬張る。
 正行はそれを眺めながら、やっぱりいちごのケーキと彼路は似ていると思う。
 白と赤のコントラストだけではなく、まろやかな甘さの中にスッキリとした爽やかさ。
 正行もまた、いちごのケーキが好きになっていた。



 帰り際、彼路が御見送りをしてくれる事になった。
 駅まで見送ると言っていたが、駅からの帰り道の方が心配だったので、マンションの下までにしてもらった。
 昼間の駅での事もあるし、彼路の行動は正行が気をつけなければならない。
 本人に自覚が無いのが一番怖い。
 織田さんは気付いていないのだろうか?

 彼路は嬉しそうに正行の後をついてくる。
 本当にペットの様だ。
 このまま家に連れて帰りたい。
 しかし、ここは冷静にならなければいけない。
「今日は楽しかったよ。有難う。」
 思わず彼路の頭を撫でていた。
 このくらいは許されるだろう。
 彼路も大分慣れた様で、嫌がる素振りは見えない。
 だけど彼路の頭の中は、もう既に明日の友達の事を考えていた様だった。
 悔しさが胸をよぎり、頭を撫でていた手に一層力がこもる。
 躾けはまだまだこれからだと、正行はそっと溜息を吐き、夜の闇に足を踏み出す。
「それじゃあ、おやすみ。明日の電話を待っているよ。」
「はい。お休みなさい。気をつけて。」
 『おやすみ』。随分久しぶりに言った気がする。
 そしてそれに『お休みなさい』と返事が返ってくる。
 胸の中が暖かくなり、優しい気持ちになれる。
 ------彼路をずっと傍に…
 独占欲が膨らむばかりの正行だった。














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初恋 -恋に落ちる- 24


 彼路とは駅で一旦別れ、正行は御土産を買いに駅ビルへ入っていった。
 御土産は迷う事なくケーキにしようと決めていた。
 甘党の彼路は、きっと喜ぶはずだ。
 同居している御世話係も、きっと甘党だろうと予測していた。
 どのケーキが好きなのか分からなかったので、一通り買う事にした。
 いちごのショートケーキ、チョコレートケーキ、チーズケーキにモンブラン、これだけあれば良いだろう。
 正行はふと、いちごのショートケーキはまるで彼路の様だと思った。真っ白な中に瑞々しい赤。
 彼路はいちごが似合うと思いながら、これで彼路の好みがまた一つ分かると策略を巡らせるのだった。



 一昨日彼路を送って来たマンションに到着する。
 あの日は御世話係に会うのが嫌で、マンションの入り口で別れたが、今日はそう言う訳にもいかない。
 御世話係に良い印象を与える様に、正行は営業用の顔で、インターフォンを押す。
 最初の挨拶としては上出来だっただろう。
 織田と名乗った御世話係は、正行に夕飯を一緒に食べる様勧めてくれた。
 夕飯までは彼路の部屋で過ごす様、こちらが画策する前に、進言してくれた。
 これでまた彼路の『初めて』が、たくさん自分の物になる。
 浮かれ気分に浸りながら、あとどれだけの『初めて』があるのか、考える事に余念の無い正行であった。

 彼路の部屋で、ベッドに並んで腰掛ける。
 今日はこうやって会えたので、明日の彼路の予定を聞く事が出来、『初めての訪問』をゲット出来たが、今後はどうなるか分からない。
 だから、これからも彼路の行動が逐一分かる様に画策しなければならない。
 正行は策を巡らせ、思案する。
 彼路と出来るだけ一緒にいたい。

 ふと横を見ると、彼路が緊張で凝り固まっていた。
 正行は思わず頭を撫でて、緊張を解きほぐしてやった。
「何か、緊張しました。会長が練習が必要だって言っていたのが良く分かりました。」
 これだっ!正行は彼路のこの言葉に反応して、彼路を言いくるめる方法を考えついてしまった。
 何事も『練習』なのだ。
 彼路は世間の常識を知らない。
 なんでも『練習』が必要だと言い、正行が練習相手になってやれば、彼路の『初めて』は正行の物になる筈だ。

 案の定、彼路は正行の提案に跳び付き、あまつさえ感謝している様だった。
 『恋の助言』を提言したのも良かったのだろう。
 ただ一つ残念なのは、毎日会えない事だ。
 会うのは週一になってしまった。
 しかし、定期報告として、毎日の電話を約束させた。
 これで十分としなければいけないだろう。
 そして最後にもうひと押し。
 『二人だけの秘密の約束』だ。
 正行が彼路にこんなにも執着している事が周りにバレない様に、口止めをしておかなければならない。
 毎日の電話に、練習と称した拘束。
 異常な行為なのは百も承知だ。
 だが、それでも、一緒にいたい。
 傍にいると安らげる。
 こんなに可愛いペットは、他には無い。
 正行は、自分でも今までにしたことの無い『指切り』を、彼路と初めて交わした。
 ------小指がくすぐったい
 胸に広がる甘ったるい達成感に酔いしれる正行だった。














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初恋 -恋に落ちる- 23


「甘くない…」
 美味しいのだが、期待していたふんわり柔らかい甘みが感じられなかった。
 彼路の大好きなプリンだとはどうしても思えず、思わず口から声が漏れてしまっていた。
 彼路が慌てて理由を説明した。
 正行の好みに合わせたのだと。
 その途端、口の中にではなく、胸の中に、甘く柔らかなものが広がった。
 彼路の気遣いが嬉しかった。
 嬉しくて、つい彼路の頭を撫でてしまう。
 もう、この生き物が、可愛くて可愛くて仕方が無い。
 ずっと傍に置いて、ずっと正行を癒して欲しい。
 胸に広がる甘さを、大事に大事に味わう正行だった。

 おやつの後、コーヒーを飲みながら彼路の話を聞く。
 聞きながらも、如何に彼路を自分の傍に置き、独占できるかを考えていた。
 そんな中、聞き捨てならない言葉が聞こえてきた。
 彼路のクラスメイトが彼路の事を『彼路』とか『彼路君』と呼んでいるのだ。
 正行はいつも『君』と呼んでいて、名前で呼んだ事はない。
 飼い主が『君』なのに、友達が名前を呼び捨てとは、許せる事では無かった。
 正行は自分も彼路の事を『彼路』と呼びたいと思ったが、その他大勢と一緒なのはどうかと思った。
 何か飼い主だけの特別な呼び方をしたいと思った。
 だが、いくら考えても、他の呼び方が思い浮かばない。
 結局、『彼路』しか思い付かず、彼路に『彼路』と呼んでも良いかと確認を取る。
 彼路は喜んで承諾してくれた上に、彼が今まで呼んでいた『会長』を好きな呼び方に変えてくれると言う。
 正行は迷わず『御主人様』と呼ぶ様言ったが、彼路は本気に受け取らず、冗談にされてしまった。
 『御主人様』がダメなら『正行様』かと思ったが、それも違う気がしたので、迷いに迷った挙句、今のままの『会長』で、と言う事になった。
 何だかとってももったいない事をしてしまった気がするが、正行の貧困な発想力では良い呼び名は浮かばないので仕方が無い。
 いつか、良い呼び方を思い付いたら、その時改めて呼んで貰う事にして、今回は『彼路』と呼ぶ事だけで我慢する。
 もやもやした気持ちが消えないながらも、話はどんどん移っていく。
 すると、またしても聞き逃せない事を言い出した。
 明日、友達が初めて彼路の家に遊びに来ると言うのだ。
 これ以上は許せるものでは無かった。
 彼路の『初めて』は、全て正行の物にしたかった。
 独占欲が抑えきれない。
 何としても阻止しなければ。
 だが、友達が明日来る事はもう決まっている。
 ならば、正行が今から---友達が『初めて』来る前に---行くしかないと思った。


 














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