何の前触れも無く、渚が突拍子もない事を言い出した。
「もしかして、今も勃ってたりする?」
「は?」
「僕が抜くお手伝いしてあげようか?」
そう言うが早いか、渚は彼路の布団を捲り上げ、パジャマのズボンを下ろそうと手を掛けた。
彼路は慌ててズボンを押さえ、渚に抵抗する。
しかし悪乗りしている渚は面白がってベッドに這い上がり、彼路の上に馬乗りになる。
彼路は渾身の力を込めて渚に体当たりをかました。
思っていた程の抵抗は無く、あっけないほど簡単に体勢が入れ換わった。
彼路は渚を上から見下ろし、はぁはぁと息をしながら渚に訴えた。
「シャレになんないよ。こんな冗談しないで。」
「あははゴメンゴメン。悪ふざけが過ぎたね。でもマジでこっちの方のお手伝いもいつでもOKだよ。」
渚がニヤリと笑った。
「もう、バカ!」
彼路は渚の胸をポカポカと叩いた。
渚はそれを笑いながら受けていた。
その時突然部屋のドアが開いて、そこからツカツカと入ってくる人物がいた。
「一体何をしている!」
彼路の体が宙を浮き、渚から離された。
目の前は大きな背中に遮られて何も見えない。
何が起こったのか分からずポカンとしている彼路の耳に渚の声だけが聞こえた。
「御覧の通り、彼路君に押し倒されていたんですよ。」
何も見えないが、渚が起き上がりベッドから下りる気配がした。
「それでは僕は失礼します。彼路君、またね。」
そう言うと渚は部屋を出て帰ってしまった。
取り残された彼路は何が起こっているのか全く理解出来ない。
そうこうしているうちに広い背中が振り返り、その姿を彼路に認識させた。
「会長?」
少し怒った様な不機嫌な顔の会長がそこにいた。
彼路の体温が上昇し、体が正直な反応を見せる。
会長に会えて顔を見られるだけで嬉しい。
彼路は頬を染めはにかむ様に俯いた。
何を話せばいいのか考える。
お見舞いに来てくれて嬉しい?
今日は昨日より遅かったんですね?
学校では何がありましたか?
そんなどうでもいい事しか浮かばない。
もぞもぞと顔を上げ、会長の顔を伺うと、会長が目を逸らした。
「随分元気になった様だな。今日はもう遅いのでこれで帰る。また明日の朝来る。」
彼路が言葉を挟む間もなく会長は部屋を出て行った。
ゆっくりしていってくれるものだとばかり思っていた彼路はビックリして固まっていた。
暫くして、渚とじゃれていた事の説明を会長にしていなかったと気付き、会長に何か誤解されたのかもと思い至り青くなった。
渚を恨みつつ、会長への言い訳を考えるのだった。
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