言ノ葉つづり ~ユメノユメ~

オリジナルのBL小説を置いてます♪

2013年12月

 こちらはBLと言う空想ファンタジー小説を扱っております。
 18歳未満(高校生を含む)の方、BLと言う言葉に興味の無い方、嫌悪を感じる方等は閲覧を御遠慮下さい。
 また、本作品は全てフィクションですので、現実と虚構の区別のつかない方も御遠慮願います。
 当ブログ内全ての作品の著作権は作者にありますので、無断転載・転用を固く禁止致します。
 不適切だと判断したコメントは、断りなく削除することがあります。
 以上、御了承頂けた方のみお楽しみください。
 更新は毎日午前零時です。

初恋 -恋に落ちる- 347


 二人は暫く談笑している様だった。
 笑い声や話し声は聞こえないが、二人の楽しそうな雰囲気は伝わってくる。
 彼路は隠れて二人を見ている自分が虚しくなり、その場を立ち去ろうとした。
 それでも目はいつまでも会長を追い掛けていた。
 そんな彼路の視界に信じられない光景が映った。
 会長が彼女の肩に手を回し抱き寄せたのだ。
 彼路はその場に固まり、二人から視線が外せなくなった。
 二人は親密そうに寄り添い、どこかに向かって歩き始めた。
 彼路はふらふらと二人の後を追う。
 そして真っ白になってしまった頭を働かせ、一所懸命考える。
 恋人ではない男女が肩を組んで寄り添うのは普通の事なのだろうか?
 あんなにピッタリと体を寄せ合わせて歩くのは一般的な事なのだろうか?
 彼路は会長と外であんな風に寄り添った事など無かった。
 これが男女の差なのだろうか?
 彼路は何だか悲しくなり、二人の姿が涙で滲んで見えなくなってきた。
 それでも二人の後を追う事は止められずに、二人だけを見詰めて歩き続ける。
 何も考えられず、ただ会長を追い掛けたのだった。

 彼女が嬉しそうに指さしている事に気がついた。
 いつの間にか二人は歩みを止めていた。
 彼路も歩みを止め、周囲を見回して驚愕した。
 そこはいわゆるホテル街だったのだ。
 二人が何故こんな所に?
 理由なんか一つしか思い付かなかった。
 だが会長の事だから何か理由があるのだと信じたかった。
 だけど、彼女に手を引かれ、会長がホテルに入って行くのを黙って見ている事は出来なかった。
 それまで隠れる様に身を潜めていた彼路だったが、二人の間まで走り寄り、繋がれていた手を断ち切る様にして会長に話し掛けた。
「会長、こんな所で何をしているんですか?」
「彼路っ!」
「ちょっと、あなた、何なの!?」
 彼路のいきなりの出現に驚く会長をよそに、彼路は彼女に肩を掴まれて振り向かされた。
 そしてそこで彼女の顔を見て、新たに驚きの声を上げた。
「咲紅良っ!?」
「お兄ちゃん!?」
「…お兄ちゃん……?」
 三人三様に驚きの声を上げ、顔を見合わせたのだった。


















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初恋 -恋に落ちる- 346 (Hiro)


--- side Hiro ---



 昨夜の会長は様子がおかしかった。
 それに最後に小さく呟いていた「すまない」と言う言葉が気になった。
 彼路は隣を歩く会長をこっそりと伺う。
 いつもと変わらない様に見える。
 やはり彼路の思い過ごしだろうか。
「彼路、すまない。今日はここまでしか送れない。」
「今日も彼女と会うのですか?」
 彼路の問い掛けに会長は困った様な笑顔を浮かべる。
「ああ。出来るだけ早く終わらせるから…、待っててくれ。」
 会長が神妙な顔をして、彼路の手をギュッと握った。
「行ってくる。」
 会長は彼路の手を離し、背中を向けて去って行く。
 彼路はその背に声を掛けようとするが、何て声を掛ければいいのか分からず、手が空を掻く。
 振り返る事無く去って行く会長の背中が強張っている様に見える。
 やはりいつもの会長とは何かが違う。
 不安に駆られた彼路は、思わず会長の後をつけていた。
 何だかとても胸騒ぎがする。
 人混みに紛れどんどん歩いて行く会長を見失わない様、彼路は人にぶつかりながらも会長の後を追ったのだった。

 会長に見つからない様、少し離れた所から会長の様子を伺う。
 緊張で胸がドキドキする。
 こんな事をしていると会長に知られたらと思うと後ろめたさで一杯になるが、どうしても気になって仕方がないのだ。
 彼路はこっそりと会長を見詰める。
 遠くて表情までは分からないが、会長の思い詰めた様な顔を思い出すだけで彼路の不安は煽られ増すのだった。
 暫く待つと、噂の彼女が現れた。
 遠目では顔が良く見えない。
 だけどスレンダーな体型は見てとれた。
 彼女もきっと美人なんだろうとの予測はついた。
 そして美男美女、学ランとセーラー服の二人は、高校生らしい爽やかなカップルとして彼路の目に映った。
 胸が痛い。
 嫉妬と羨望、複雑な気持ちが彼路の中に生まれた。
 会長の恋人は彼路の筈なのに、今会長の隣に居る彼女の方が相応しい様に思えたのだ。
 彼路はブルブルと頭を振って、卑屈な考えを吹き飛ばす。
 彼女は龍之助さんから頼まれて付き合ってるだけで、会長の気持ちは彼路にある筈だ。
 会長の気持ちまで否定してしまう様な失礼な事を考えてはいけない。
 彼路は心を静めて再び二人を見詰めるのだった。

















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初恋 -恋に落ちる- 345


「前に僕との約束をドタキャンして会っていた女性ですか?」
 またしても彼路は思い掛けない事を言う。
「何故知ってる?」
 思わず聞き返してしまっていた。
「あの日、会長との約束が無くなったので、渚と会ってたんです。その時に見掛けて…。」
 正行はフゥっと息をつく。
 彼路に上手く隠せているつもりだったのに、彼路はことごとく正行の思惑をぶち壊していく。
 自分の浅はかさがおかしくなり、正行は苦笑した。
「彼路に隠し事は出来ないな。あの時の女性とは違うよ。あの時会っていた女性は両親の知り合いで、昔の話を聞いてたんだよ。もう二度と会う事はないだろう。」
「そうなんですか…」
 深刻そうに呟く彼路におかしくなり、正行は気分を変える様に話題を変えた。
「焼きもちを焼いたか?」
 彼路がピクリと肩を震わせた。
 そして少し拗ねた様に口を尖らせた。
「別に焼きもちなんか焼きません。」
 嘘をついているのは明白だった。
「本当か?ホントは不安で不安で仕方なかったんだろ?」
 いや違う。
 本当は正行の方が不安なのだ。
 正行が自嘲の笑みを浮かべると彼路が大声を出した。
「会長の事信じてますから!」
 心臓が止まるかと思った。
 彼路に信用されている事が嬉しくて辛い。
 これから彼路のその信頼を裏切らなくてはいけないのだから。
 正行は心の底から熱いものが込み上げてきて、思わず彼路を抱き締めた。
 正行の心は全て彼路だけのものだ。
 しかしこの体は彼路ではない女を抱かなければならない。
 裏切っているつもりはないが、やはり裏切りなのだろうか。
 だが決して浮気ではない。
 彼路にそれを分かってくれと言うのは酷だろうか。
 正行は彼路を抱く手に力を込め、自責の念から気持ちが言葉となって零れ落ちた。
「彼路、すまない…」
 ほんの微かな囁きだった。
 彼路には聞こえなかっただろう。
 正行は彼路への贖罪の様に、いつまでも彼路を抱き締めたのだった。






















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初恋 -恋に落ちる- 344


 咲紅良と別れ、彼路の家へと向かっていた。
 深夜ではないが夜なのでどうしようかと思ったが、彼路の顔が見たかった。
 彼路に触れたかった。
 正行は正直疲れていた。

 彼路は快く部屋へと招き入れてくれた。
 正行は我慢出来ずに彼路に手を伸ばす。
 ドアの向こうに織田さんがいるのは分かっていたが、衝動は抑え切れなかった。
 彼路の髪に触れ、彼路の匂いに包まれ、甘い口付けで癒される。
 この唇、この感触、正行を満たすのは彼路しかいない。
 あんな女に触れたくもない。
 しかし目的遂行の為には何とかしなくてはならない。
 これ以上先延ばしにしても時間の無駄だ。
 明日こそは咲紅良を抱ける様に、今彼路を補充する。
 正行は彼路を感じようと、全身を使って彼路を抱き締めた。
「あの、会長、聞きたい事があるのですが良いですか?」
 正行が彼路に夢中になっていると、彼路がおずおずと問い掛けてきた。
「何だ?」
 正行は手を休める事無く聞き返した。
「あ、あの、最近忙しいのって何をしてるんですか?今日渚が、会長が女の子と一緒に居るのを見たって言ってたんですけど…。」
 正行の手が止まった。
 咲紅良と一緒の所を誰かに見られていたのか。
 アルバイトの時は変装し雰囲気を変えていたので正行に気付く者はなかったが、今は高校生として振舞っているので学校の時の格好だ。
 誰に見つかってもおかしくなかった。
 だが正行は冷静だった。
 ゆっくりと彼路から体を離し、彼路と目を合わせる。
「何が言いたい?」
 彼路の本心を探る様に注意深く聞いた。
 すると彼路は慌てた様に言い訳めいた弁明をする。
「い、いえ、浮気を疑っている訳ではないんです。会長がそんな事絶対にしないのは分かってますから。」
 その瞬間、正行の良心が痛んだ。
「ただ、最近ずっとその人と会っているって聞いて、何か事情があるなら知りたいと思って。最近会長ずっと忙しくて、一緒に居る時間が少なくなって寂しかったです。詮索するのは止めようと思ってたんですが、今日渚に会長の事を聞いて、何も知らなくて不安になりました。理由が分かっていれば安心して待っていられると思って…。」
 胸がズキズキと痛い。
 彼路からの信頼が辛い。
 それに、彼路にこんな思いをさせたくなくて隠していたのに。
 正行は胸が詰まって、彼路に何も言えなくなっていた。
 彼路は正行の沈黙をどう思ったのか、純粋な瞳で正行を見上げて言った。
「何故忙しいのか、教えて貰えませんか?」
 彼路の視線にいたたまれずに、正行は思わず目を逸らしてしまった。
 そしていざという時の為に予め考えておいた言い訳を口にする。
「龍之助に頼まれて、あの子の遊び相手をしている。遊んでいるので彼路には知られたくなかったんだ。今迄黙っていて、不安にさせてすまなかった。」
 最後の言葉だけが本心だ。
 正行は彼路の指先に触れ、詫びる様に握り締めた。
 心の動揺が手に現れ、小刻みに震えてしまっていた。
 彼路に気付かれない様手に力を込めて震えを隠す。
 彼路への申し訳なさで一杯だった。


















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初恋 -恋に落ちる- 343 (Masayuki)


--- side Masayuki ---



 龍之助の調べにより、その人には子供がいる事が分かった。
 その末娘が丁度近くの高校生らしく、正行はその子に狙いを定め近付いた。
 偶然を装い出会いを演出し、その後自然に正行に傾く様仕向ける。
 正行の頭脳と容姿を持ってすれば、いとも簡単な事だった。

「王子さん、今日も楽しかったです。…それじゃあ、また明日……。」
 頬を染めた彼女が、何かを期待する様にこちらを見上げていた。
 別れ際のキスを期待しているのだと分かる。
 しかし正行にはそれがどうしても出来なかった。
 正行は誤魔化す様に作り笑顔を向ける。
「またね、咲紅良(サクラ)ちゃん。」
 そう言って無理矢理突き放す。
 しぶしぶ帰っていく彼女の後姿を見ながら、一体何をしているのかと自己嫌悪に陥る。
 こんな中途半端な日が、もう何日も続いているからだった。
 正行の計画では、彼女の身も心も正行の虜にして、骨抜きになった所で一気に地獄に突き落とすつもりだった。
 それなのに、その第一段階で既に躓いていた。
 以前の正行なら、何の躊躇もなく、目的に向かって遂行していたと思う。
 だが彼路に出逢って、彼路と言う恋人が出来た今では、彼路に対する後ろめたさや人間らしい心から、彼女に対する態度を決め兼ねていた。
 一体どうしたんだ?
 あんな女サッサと抱いてしまえばいい。
 そして身も心も正行で骨抜きにしてメチャクチャにすればいいじゃないか。
 あの女を傷付けたら、あの男はどんな顔をするだろう?どんな気持ちになるだろう?
 それが見たくて彼女に近づいたのだ。
 迷うな。恐れるな。
 正行は自分自身に活を入れる。
 だがやはり気持ちは重く、どうにも気が進まない。
 正行は唯一の癒しである彼路の元へと急いだ。
 彼女と会う様になってから、彼路との時間が激減した。
 それに伴い触れ合いも減っていた。
 セックスもどきをしている時間もなく、ただ学校を往復し、顔を見るだけの時間しか取れなかった。
 それでも毎日彼路に会いたかった。
 彼路に触れ、彼路を感じていたかった。
 そうすることで、彼女への態度が益々鈍るのだとしても、彼路のいない日々は考えられなかったのだ。
















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