俺は勝ち誇った顔でボサボサ魔人を見ていたが、ボサボサ魔人は一瞬呆気に取られただけで、すぐに口元に笑みを浮かべた。
「へぇ~、俺が”童貞”だって知ってるんだ。」
その言い方は恥ずかしそうでも悔しそうでもなかった。
逆にその淫靡な雰囲気に押され、俺の方が恥ずかしくなった。
だがここで負けるものかと更に言い募る。
「30過ぎても”童貞”で、”魔法使い”って呼ばれるなんて、恥ずかしくないのか?そんなんでよく紹介しようなんて言えたもんだな。一体何を紹介してくれるつもりなんだ?」
「”魔法使い”って呼ばれた事はないんだけど、”童貞”で恥ずかしくはないな。だって、”処女”ではないからな。」
「は?”処女”?」
ここで聞こえる筈の無い単語が聞こえた。
俺は間抜けな声で聞き返していた。
「俺は”ネコ”だから一生”童貞”でいいんだよ。」
「”ネコ”???」
「紹介して欲しいなら、”ネコ”でも”タチ”でもいくらでも紹介してやるよ。」
想像を遥かに上回る言葉の応酬に、俺は顔を真っ赤にし、目をまん丸にして口を開けていた。
その顔がよっぽどおかしかったのか、淫靡な空気を撒き散らしていたボサボサ魔人がプッと吹き出した。
「何だよお前、知らずに言ってたのか?どこで俺が”童貞”だって聞いてきたんだよ?」
「だって彼路が”魔法使い”だって…」
「おかしいな?俺は彼路君にそんな事言った覚えは無いぞ?聞き間違いじゃないのか?」
俺は恥ずかしくなって俯き口を閉じた。
「大体、お前一体何しに来たんだ?俺の事を”童貞”だ”魔法使い”だとバカにしに来たのか?」
ボサボサ魔人が俺の襟元を掴んで引っ張り上げた。
「クソ餓鬼が、舐めんなよ!」
腹の底に響く様な低い声で脅された。
そして俺をポイっと放り出すと、机に向かい背中を向けたまま、元のやる気の無い声で釘を刺された。
「バカはサッサと帰れ。それから彼路君にはもう手を出すなよ。今度やったら正行だけじゃなく俺にも殴られると覚悟しとけよ。」
俺は何も言えず、俯いたまま保健室を後にした。
何でこんな事になったんだろう?
俺の鬱屈は益々増すばかりだ。
あのボサボサ魔人、絶対に泣かしてやる!
決意も新たに、俺はどこでどう間違えたのかを確かめるべく、彼路に電話をしたのだった。
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