言ノ葉つづり ~ユメノユメ~

オリジナルのBL小説を置いてます♪

2014年01月

 こちらはBLと言う空想ファンタジー小説を扱っております。
 18歳未満(高校生を含む)の方、BLと言う言葉に興味の無い方、嫌悪を感じる方等は閲覧を御遠慮下さい。
 また、本作品は全てフィクションですので、現実と虚構の区別のつかない方も御遠慮願います。
 当ブログ内全ての作品の著作権は作者にありますので、無断転載・転用を固く禁止致します。
 不適切だと判断したコメントは、断りなく削除することがあります。
 以上、御了承頂けた方のみお楽しみください。
 更新は毎日午前零時です。

初恋 -年下の俺と美魔法使いの彼- 6


 俺は勝ち誇った顔でボサボサ魔人を見ていたが、ボサボサ魔人は一瞬呆気に取られただけで、すぐに口元に笑みを浮かべた。
「へぇ~、俺が”童貞”だって知ってるんだ。」
 その言い方は恥ずかしそうでも悔しそうでもなかった。
 逆にその淫靡な雰囲気に押され、俺の方が恥ずかしくなった。
 だがここで負けるものかと更に言い募る。
「30過ぎても”童貞”で、”魔法使い”って呼ばれるなんて、恥ずかしくないのか?そんなんでよく紹介しようなんて言えたもんだな。一体何を紹介してくれるつもりなんだ?」
「”魔法使い”って呼ばれた事はないんだけど、”童貞”で恥ずかしくはないな。だって、”処女”ではないからな。」
「は?”処女”?」
 ここで聞こえる筈の無い単語が聞こえた。
 俺は間抜けな声で聞き返していた。
「俺は”ネコ”だから一生”童貞”でいいんだよ。」
「”ネコ”???」
「紹介して欲しいなら、”ネコ”でも”タチ”でもいくらでも紹介してやるよ。」
 想像を遥かに上回る言葉の応酬に、俺は顔を真っ赤にし、目をまん丸にして口を開けていた。
 その顔がよっぽどおかしかったのか、淫靡な空気を撒き散らしていたボサボサ魔人がプッと吹き出した。
「何だよお前、知らずに言ってたのか?どこで俺が”童貞”だって聞いてきたんだよ?」
「だって彼路が”魔法使い”だって…」
「おかしいな?俺は彼路君にそんな事言った覚えは無いぞ?聞き間違いじゃないのか?」
 俺は恥ずかしくなって俯き口を閉じた。
「大体、お前一体何しに来たんだ?俺の事を”童貞”だ”魔法使い”だとバカにしに来たのか?」
 ボサボサ魔人が俺の襟元を掴んで引っ張り上げた。
「クソ餓鬼が、舐めんなよ!」
 腹の底に響く様な低い声で脅された。
 そして俺をポイっと放り出すと、机に向かい背中を向けたまま、元のやる気の無い声で釘を刺された。
「バカはサッサと帰れ。それから彼路君にはもう手を出すなよ。今度やったら正行だけじゃなく俺にも殴られると覚悟しとけよ。」
 俺は何も言えず、俯いたまま保健室を後にした。
 何でこんな事になったんだろう?
 俺の鬱屈は益々増すばかりだ。
 あのボサボサ魔人、絶対に泣かしてやる!
 決意も新たに、俺はどこでどう間違えたのかを確かめるべく、彼路に電話をしたのだった。

















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初恋 -年下の俺と美魔法使いの彼- 5


 部活終了後、俺はウキウキと保健室へと向かった。
 航達には先に帰って貰った。
 あのボサボサ魔人をギャフンと言わせ、今迄の憂さ晴らしをする気満々でドアをノックした。
「本日の営業は終了しました~。」
 またしてもやる気の無い、人を小馬鹿にした返事が聞こえてきた。
 俺はそれを無視してドアを強く開けた。
 ボサボサ魔人が億劫そうにこちらを振り返った。
「おっ、あの時のバスケ部の小僧じゃないか!いい所に来た!こっちへ来い!」
 ボサボサの前髪で顔が隠れているので表情は読み取れないが、俺の予想とは違う嬉しそうな声のボサボサ魔人に少し腰が引けた。
 だが、ここで負けてなるものかと思い直し、差し出された椅子に向かってずかずかと歩いて行った。
 偉そうにドスンと腰を下ろすと、ふんぞり返る様にしてボサボサ魔人を見据えた。
「お前、彼路君に何したんだ?正行を怒らせるなんて大したもんだ!詳しく聞かせろ!」
 ボサボサ魔人が口元を弓なりに反らせて、身を乗り出して聞いてきた。
 正行とは生徒会長の事だろう。
 俺はこんな事を聞かれるなんて思ってもいなかったので、戸惑い口籠った。
「え、何って…」
「おおかた寝ている彼路君を襲ったんだろ?」
 ボサボサ魔人に言い当てられ、俺は羞恥にカッと顔を赤くする。
「ハハハ、やっぱりな!そうだと思ったんだ!」
 ボサボサ魔人が腹を抱えて笑い出した。
 今度は怒りで顔を赤くして、俺は椅子から立ち上がって怒鳴り付けた。
「何でお前にそんな事言われなけりゃならないんだ!お前なんかに笑われる筋合いはない!」
 俺はハァハァと息を荒げ、ボサボサ魔人を睨み付けた。
「まぁまぁ、落ち着いて座れ。」
 ボサボサ魔人は俺の肩に手を置いて椅子に座らせる。
 そして何とか笑いを収め、肩の上の手をポンポンと叩きながら俺に話し掛けてくる。
「お前の気持ちはよ~く分かる。彼路君は確かに可愛い。だが残念ながらお前に脈は無い。諦めるしかないんだ。諦めてくれ。何なら俺が可愛い子紹介しようか?」
 俺は肩に乗っていた手を振り払い、冷たい目を向け冷静に対応した。
 昨日渚に言われ、ちゃんと彼路への気持ちに決着を付けといて良かった。
 そうでなければうろたえ、みっともない姿を晒す所だった。
「何言ってんだよ”魔法使い”が。”童貞”のお前に紹介なんて出来る訳ないだろ?」
 そうだ。俺はこれが言いたかったのだ。
 こうやってこいつをバカにして、積もりに積もった鬱憤を晴らしたかったのだ。
















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初恋 -年下の俺と美魔法使いの彼- 4


 翌日、俺は少し緊張しながら渚と航と一緒に学校へ行った。
 そこで彼路に会い、彼路から会長が殴ってすまなかったと謝っていたと聞いて、俺の方こそ悪かったと謝った。
 彼路は事情を知らない様で、何故俺が彼路に謝っているのか分からない顔だったので、会長に謝罪を伝えてもらう様にお願いした。
 彼路は嬉しそうに承諾してくれた。
 そして、渚に促される様にして、頬を染め、恥ずかしそうに会長と付き合う事を報告してくれた。
 その照れた顔を見て、俺は自然に笑みを零し、心から「良かったな」と言う事が出来た。
 彼路がこんな幸せそうな笑顔を見せるのだ。
 これで良かったんだと心底思えた。
 あ~、俺にも春が来ないかな~っと思った所で思い出し、俺は慌てて彼路に問い掛けた。
「ところでさぁ、彼路って保健医と仲いいの?俺この間すっげぇ邪険に扱われてムカついてんだけど、あいつってどんなヤツ?」
「えっ?あっ、虎之助さん?とても優しくて色々と相談に乗ってくれて、とってもいい人だよ。」
「虎之助さん?何で名前で呼んでんの?」
「あ、それは…、あの人会長の身内の方なので…」
「えっ?会長の身内?」
 その場にいたみんなが驚きの目で彼路を見た。
「…うん…。」
 彼路は言い難そうに返事をした。
 その態度から、余り詳しく聞くのは失礼だと思い、要点だけを聞く。
「彼路には優しいかもしれないけど、俺には超冷たかったぜ。見た目もボサボサだし…」
 俺がそこまで言った時、彼路が急に嬉々とした大きな声を出した。
「そうなんだよ!最初ボサボサな人が出てきてビックリしたんだけど、あの人、”美魔法使い”なんだよ!」
「”魔法使い”?あいつ、30過ぎてるのか?」
「ハッキリとは知らないけど、過ぎてるらしいんだ。信じられないでしょ?あれで30歳過ぎてるなんて!」
 俺は小さく吹き出して、心の中で大笑いした。
 あいつ、30過ぎても童貞で、”魔法使い”になったのか。
 可哀想なヤツめ。
 だがあの風体では仕方のない事だろう。
 でもこれで仕返しする為の良いネタが出来た。
 俺は彼路がそんな下ネタを話す違和感や、その後の彼路の話を聞き逃し、間違った認識だけでシメシメと思っていた事に気付かず、その場を後にした。
 頭の中はボサボサ魔人への仕返ししかなかった。
 ”ボサボサ魔人”=”魔法使い”
 俺は下卑た笑いを浮かべながら、取り敢えず航と一緒にバスケ部の部室へと向かった。
 部活が終わった後、保健室へ乗り込んでやるのを楽しみにして。

















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初恋 -年下の俺と美魔法使いの彼- 3


 全く自覚はなかったが、渚の言う通りかもしれない。
 確かに渚と航の関係を知ってから”男”と言うものに興味を持った。
 散々女とは遊んで丁度飽きていたから、目新しいものに惹かれたのかもしれない。
 しかし俺はやはり”女”が好きで、”男”そのものに興味は持てなかったから、”女の代わりになる男”として彼路を選んでいたのかもしれない。
 渚に指摘された今その事に気付き、俺は恥ずかしさに顔を歪めた。
「でもまぁ、その御蔭で彼路君は会長と正式にお付き合いする事になったみたいだし、勇人の横恋慕も役に立ったみたいだから、そんなに落ち込まなくてもいいんじゃない。」
「えっ?そうなのか?」
「そうみたいだよ。」
 渚がニヤッと笑って俺を見てる。
 正直俺は、彼路が会長とくっ付いたって聞いたら、もっとショックを受けるものだと思っていた。
 だが今は少し寂しく思うものの全くショックはなく、やはり渚の言う通りなのだと納得していた。
「今度彼路君に会ったらちゃんと祝福してあげなよね。出来るよね?」
「…うん…。」
「それじゃあいつまでも不貞腐れてないで、明日からは元気に登校しなよ。分かった?」
「分かったよ。」
「約束だからね。」
「あぁ。」
「それじゃあ僕は帰るね。また明日。」
 そう言って渚はひらひらと手を振って帰って行った。
 残された俺はあ~あと布団に寝転がり、ぼんやり天井を見詰める。
 遂に彼路も会長に取られちゃったか。
 男だけど俺が好きになれそうだと目を付けてたのに、思惑が外れてしまった。
 仲良し四人組のうち三人に彼氏が出来て、俺だけひとりぼっちだ。
 何事も思う通りにはいかないものだと溜息をつき、ゴロンと横を向く。
 彼路と恋人にはなれなかったけど、彼路が良いヤツで大切な友達には違いない。
 渚の言う通り、今度会ったら笑顔で祝福しようと心に決め、俺はまた溜息をつく。
 あ~あ、俺にも早く春がやって来ないかな。
 高校に入ってから彼路しか見てなかったので、すぐに可愛い子の顔が浮かんでこない。
 大体、彼路はそこらの女の子より可愛かったのだ。
 彼路より可愛い子がそうそういるとは思えない。
 彼路を見慣れてしまった今、新たに好きになれそうな子が出来そうもない事に、俺はまた溜息をついた。
 この怒り、悲しみ、悔しさ、虚しさをどうすればいい?
 その時俺は思い出した。
 理不尽な扱いをされたムカつく保健医の事を。
 あいつに何か仕返しがしたくなってきた。
 ただの八つ当たりだと分かってはいたが、それ以外、この思いをどこにぶつければいいのか分からなかった。
 あのボサボサ魔人をギャフンと言わせれば、少しは気が晴れるだろう。
 俺はボサボサ魔人への仕返しを考える事で、漸く心の平穏を取り戻したのだった。

















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初恋 -年下の俺と美魔法使いの彼- 2


「勇人、彼路君に何かしただろ。」
 勘の鋭い渚が痛い所をついてくる。
 夏の暑い時期なのに、俺は布団に頭から潜ったまま動かない。
 会いたくないって言ったのに、幼馴染の渚は勝手知ったる他人の家とばかりにずかずかとあがり込んできて、俺に説教を始めた。
「生徒会長様に殴られたんだって?彼路君から大まかな事情は聞いたよ。会長に殴られる様な”何か”を彼路君にしたんだろ?それで殴られて不貞腐れて何日も部活サボってるのか?試合前の大事な時期じゃないのか?航も心配してたよ。サッサと元気出して学校行け!」
 そう言って渚が掛け布団を捲り上げる。
 俺は慌てて布団を掴み、今度はしっかりと押さえ込んで体全体を隠す。
「大体さぁ、彼路君と会長がデキてるのは分かってただろう?まぁ、本人達は分かってなかったみたいだからそこに付け込んだんだろうけど。」
 そうなのだ。
 俺が目を付け、狙っていた彼路は、誰の目から見ても可愛かった。
 だから俺だけじゃなく生徒会長にも目を付けられていたのだ。
 それでも同じクラスで傍に居る俺の方が有利だと判断しアプローチしていたのだが、鈍感な彼路は全く気付かず、それどころかいつの間にか会長といい雰囲気になっていたのだ。
 焦った俺は、夏休みの誰もいない教室で眠っている彼路を偶然見つけ、チャンスとばかりにキスを奪った。
 男とキスしても違和感はなく、これならば大丈夫だと思い、やはり彼路を恋人にしようと画策してる所へ、それを見ていたであろう会長にいきなり殴られたのだ。
 寝ている彼路を襲ってしまった後ろめたさから抵抗出来ずにいると、気がついた彼路が俺を庇ってくれた。
 嬉しくて、俺にも脈があるのではないかと一瞬歓喜したが、彼路の視線、声のトーン、態度から、そうではない事がひしひしと伝わって来た。
 単に会長を信頼しきっているからこそ、ただの友達であるケガした俺を優先してくれただけだった。
 俺の入り込む余地なんてどこにもなかった。
 俺は落胆し失望した。
 そんな傷心の俺を更にどん底に突き落としたのは保健医だった。
 何故だか彼路とは親しい様で彼路には優しくしていたのに、ケガの手当てをしに行った俺への対応は最悪で、ぞんざいに扱ったあげく、適当な治療をして放り出したのだ。
 ボサボサな髪で顔を隠した胡散臭いヤツ。
 そんなヤツにこんな扱いをされて、俺のプライドは傷付いた。
 会長に殴られた悔しさも、彼路に相手にされなった悲しみも、全てコイツへの恨みにすり替わっていく。
 ボサボサ魔人、許すまじ!
「そもそもさぁ、勇人のそれは”恋”じゃないだろ?そんないい加減な気持ちで人の恋路を邪魔するのは良くないと思うよ。」
「どう言う意味だ?」
 今迄無視を決め込んでいた俺は、渚の言葉が理解出来ずに思わず聞き返していた。
 俺の顔を見た渚はホッとした表情を浮かべてから、真剣に怒った様な顔で諭した。
「だって勇人、彼路君の事好きじゃないでしょ?」
「好きだよっ!」
「うん。僕も好きだよ。でもそれは”友達の好き”で、”恋愛の好き”じゃないでしょ?」
「恋愛の好きだよ!恋人にしたいと思うよ!」
「恋人にしたいのは好きだからじゃなくて、僕と航への当て付けからでしょ?勇人、本当は男に恋愛感情なんて持てないでしょ?女の子大好きだもんね。僕と航の事を知ったから男に興味を持ち始めたんだよね?それで丁度良い時に女の子より可愛い彼路君に出逢って、女の子の代わりに彼路君と付き合おうって思ったんでしょ?違う?」
「……」
 俺は渚から目を逸らしてしまった。

















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