言ノ葉つづり ~ユメノユメ~

オリジナルのBL小説を置いてます♪

2014年05月

 こちらはBLと言う空想ファンタジー小説を扱っております。
 18歳未満(高校生を含む)の方、BLと言う言葉に興味の無い方、嫌悪を感じる方等は閲覧を御遠慮下さい。
 また、本作品は全てフィクションですので、現実と虚構の区別のつかない方も御遠慮願います。
 当ブログ内全ての作品の著作権は作者にありますので、無断転載・転用を固く禁止致します。
 不適切だと判断したコメントは、断りなく削除することがあります。
 以上、御了承頂けた方のみお楽しみください。
 更新は毎日午前零時です。

和の国 49


 表面上穏やかな日々が続いた。
 平日は黙ってマグヌスの傍に寄り添い、休日は二人で森の探索。
 二人でいる事が当たり前の様になっていた。
 だが心の中は穏やかではなかった。
 森の探索は全くのお手上げ状態で、毎回森をさ迷っているだけだった。
 こんな調子で世界樹への道が見つかるとは思えず、マグヌス自身も焦っている様だった。
 また私はマグヌスへの恋を自覚してからと言う物二人で居る事に喜びを感じていた筈が、最近では物足りなくなってきていた。
 もっと声が聞きたい。笑顔が見たい。全てが知りたい。知って貰いたい。
 だが話し掛けるのは緊張するし、マグヌスが私に笑顔を向ける事などありはしなかった。
 こんな近くに、手を伸ばせば届く所に居るのに、こんなに寂しいなんて知らなかった。
 黙って傍に居る事が幸せなのに苦痛になり、そんな葛藤と戦う日々が続いていた。
 そんな二人の日々を打ち砕いたのはメイだった。
 タクの容体も安定し、城から学校へと戻ってきたのだ。
 マグヌスの隣はメイの場所になり、私は二人が楽しそうに話すのを後ろで見詰めるしか出来なかった。
 私があれほど欲して得られなかったマグヌスの笑顔を、メイはいとも簡単に手に入れている。
 その事実に私の胸は痛み、激しい憎悪に駆られた。
 双子の弟であるメイの事をこんなに憎いと思えるなんて、私の心は何て醜いのかと嫌悪した。
 だがいくら理性を持ってしても、心の感情と言う物は抑え切れなかった。
 私はいつしかメイを排除し、マグヌスを自分だけのものにしたいと考えるようになっていた。

















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和の国 48


「昨日は休み、今日は遅刻。皇子様は一体何をされてたのかな?」
 挑発的な声が響いた。
 私はビクッと肩を跳ねさせ、恐る恐る声の方を振り返った。
 いつもは私に興味のない筈のマグヌスが頭上から睨む様に私を見ていた。
 私の事を気に掛けてくれ、マグヌスの方から声を掛けてくれた事自体が嬉しく、やはり嫌われてはいないのだと思えた。
 だがその視線は厳しい。
 マグヌスの顔を正面から見る事が出来ずに視線を逸らす。
 ドキドキと言う鼓動が耳にうるさい。
「寮に居なかった様だが、一人でどこに行っていた?」
「あっ、……城に…、メイとタクのお見舞いに……。」
 しどろもどろに答えると、マグヌスは疑いの目を強くした。
「ホンの数日前に私と一緒に見舞ったばかりではないか?二人とも元気そうだったじゃないか?それなのにまた見舞いだと?嘘を吐くな!正直に答えろっ!」
 低い声で怒鳴られ、私は正直に打ち明けたい衝動に駆られた。
 だが我が国の秘密を漏らす訳にはいかない。
 私は頭をフル回転させ言い訳を考えた。
「…城からの急な呼び出しで……。」
 マグヌスはきっと言い訳だと気付いただろう。
 でもそれ以上何も言わずに引き下がってくれた。
 私はホッと胸を撫で下ろし、教室を出て帰るマグヌスの後をそっと追い掛けた。
 マグヌスの広く大きな背中を見ているだけで胸が高鳴る。
 人を好きになると言うのはこういう事なのかと頬が緩む。
 本音を言えば顔を見て声が聞きたい。
 だけど緊張してしまい、それを実行に移す事が出来ない。
 今は特にマグヌスには言えない秘密を抱えているから余計だ。
 それでもこうやって傍に居る事だけで満足出来る。
 私は好きな人の傍に居られる喜びを噛み締めるのだった。

















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和の国 47


 寮に着いたのは昼過ぎで、どうしようか迷ったが私は授業に出る事にした。
 授業中で誰もいない廊下を一人歩く。
 窓から差し込む光が眩しかった。
 授業の邪魔にならない様そっとドアを開け教室に入った。
 教師はチラリと視線を寄こしただけで静かに席に着く私には触れずに授業を続けた。
 他の生徒達もこちらを気にした風に見てはいたが、教師に従う様に誰も何も言わずに前を向いた。
 唯一マグヌスだけが私をじっと見詰めていた。
 その視線が嬉しい様な恥ずかしい様な、そして申し訳ない様な気がして私は息を殺して俯くしか出来なかった。
 胸の鼓動が早鐘を刻む。
 恋しい相手を前に、どうしていいのか全く分からなかった。
 授業が終わり、周りの皆が気遣ってくれる。
「もう大丈夫なのか?」
「体調悪いのなら無理はするなよ。」
「ありがとう。大丈夫だよ。」
 マグヌスの方を見ない様にしながら引きつった笑顔を浮かべる。
「メイもいないから寂しいんじゃないか?」
 そんな風に茶化されて、私もそうならどんなにいいかと思った。
 だがメイがいても、魔法使いから聞いた話を相談する事は出来なかっただろう。
 現に昨夜私は城に居たが、メイにも、現皇帝である父にも相談出来なかった。
 結局私には今のこの平和な国を否定する事は出来なかった。
 まやかしであろうとパートナーシステムはこの国には必要な事なのだと思ったからだ。
 だが私自身の事はまた別問題だった。
 真実を知った今、パートナーシステムを受け入れる事は出来ない。
 何とかしてサオリとのパートナーを解除したい。
 だが誰に何と言えばいいのか分からない。
 それに、自分の気持ちがマグヌスに向いていると分かった物の、これからどうすればいいのか本人を前にしても分からず戸惑っているのだ。
 何も出来ず、何も分からないまま、それでもマグヌスに会いたかったのだ。
















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和の国 46


 パートナーシステムがまやかしなのは理解した。
 パートナーだと信じていたサオリは、実は運命の相手でも何でもなかったのだ。
 不思議とその事については何とも思わなかった。
 私の思考を支配したのは、私のマグヌスへの感情だった。
 魔法使いの説明によれば、私はマグヌスに強い好意を抱いているという事になる。
 この気持ちはマグヌスにも指摘された様に”恋”なのか?
 そしてそれ以上に私の心を乱したのは、嫌われていると思っていたマグヌスが、私に嫌悪を抱いていないと言う事だった。
 だからキスしても弾き飛ばされる事が無かったのだ。
 この事実を知った時の、この胸の高揚を何と表せばいいのか?
 言葉には出来ないほどの喜びが渦巻いている。
 マグヌスに対する自分の感情を持て余し困惑していた筈が、マグヌスも少なからず好意を持ってくれていると知り喜ぶ自分の姿に、これはやはり恋なのだと納得してしまった。
 自分の恋を自覚した途端色々な事が思い出され、私は恥ずかしさに一人顔を赤らめた。
 そして、これからどんな顔でマグヌスに会えばいいのか分からずに、悶々と悩んでしまった。

 翌日の早朝、メイやタクに気付かれない様に城を出て、私はゆっくりと学校までの道を辿っていた。
 石造りの建物や石畳の上を行く馬車。
 早朝から仕事に励む勤勉な人々。
 夜には酒場で楽しく酒を酌み交わし、子供達の笑い声が溢れ、皆が陽気に歌い踊る。
 誰もが平等で平和な国。
 この見慣れた筈の景色が今の私の目には淀んで見えた。
 これらが全て偽りの上に成り立っているとは思いたくなく、私は目を閉じた。


















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和の国 45


 茫然自失の私をよそに、魔法使いは語り続けた。
「何故この様なシステムを作ったのかとの問いでしたが、表向きは御存じの通り争いを無くし、効率良く子孫を残す為です。ですが元々は、三代皇帝の赤司 和恵(アカツカサ カズエ)様の願いにより創り出したシステムでした。カズエ様の御結婚相手が大変なプレイボーイで、結婚後も浮気の絶えない方でした。そこで一計を案じられたカズエ様が旦那様を自分だけのものにしようと考えたのがパートナーシステムです。このシステムは予想以上に上手く機能し、この国から恋愛に関する争いを無くしてくれました。外敵から守られているだけの平和から、国内での心の平和をも得られる様になったのです。だから今現在もこのシステムは機能し続けているのです。御理解頂けましたでしょうか。」
 魔法使いが無表情に戻って私に問い掛けた。
 私は青い顔で頷き、立ち上がった。
「もういい、分かった。」
 私は早足でその場を離れ、馬に跨った。
「お気を付けて。」
 頭を下げる魔法使いを馬上から見下ろし、私は力なく呟いた。
「また来る。」
「いつでもどうぞ。」
 魔法使いの感情の無い冷たい言葉を聞きながら、私は馬を走らせた。
 一人になって考えたかった。
 パートナーシステムの真実を。
 そして私自身の事を。
 寮まで帰る元気が無くて、私は城へと向かった。
 メイやタクにも会いたくなかったので、周りの者に口止めし、こっそりと自室へこもったのだった。











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