言ノ葉つづり ~ユメノユメ~

オリジナルのBL小説を置いてます♪

2014年09月

 こちらはBLと言う空想ファンタジー小説を扱っております。
 18歳未満(高校生を含む)の方、BLと言う言葉に興味の無い方、嫌悪を感じる方等は閲覧を御遠慮下さい。
 また、本作品は全てフィクションですので、現実と虚構の区別のつかない方も御遠慮願います。
 当ブログ内全ての作品の著作権は作者にありますので、無断転載・転用を固く禁止致します。
 不適切だと判断したコメントは、断りなく削除することがあります。
 以上、御了承頂けた方のみお楽しみください。
 更新は毎日午前零時です。

存在証明 40


 それからも不定期ではあったが”メイ”からの荷物が届く様になった。
 毎回植物標本と簡単な近況を記した手紙が入っていた。
 この手紙が『楽しい』から『帰りたい』に変化していくのを私は楽しみに待っていた。
 だがいつまで経っても変化は起こらなかった。
 それどころか、植物研究の仕事は毎回新たな発見があり忙しいほど順調だし、マグヌスと二人で初めての土地を訪れ人々と触れ合うのはとても新鮮で楽しいと、手紙は益々の盛り上がりを見せた。
 手紙を手にして私は思う。
 こんな筈では無かった。
 すぐに根を上げ帰って来ると思っていたのだ。
 『恋』なんて一時の気の迷い。まやかしに過ぎない。
 蜜月なんてすぐに去り、きっと旅に出た事を後悔する時が来る。
 泣きながら許しを乞うて帰って来る日が来るだろうと思っていた。
 だがら無意識ではあったが身代わりを自分から名乗り出たのだ。
 そしてその時、お前の居場所はもう無いのだと思い知らせたかった。
 私と同じ苦しみを味わわせたかった。
 だが私の思惑とは裏腹に、アキは新しい生活に慣れ、それを謳歌している。
 一方私は待望の”アキ”と言う立場を手に入れて喜び絶頂の筈なのに、喜びなど微塵も感じない。
 苦しさが増える一方だ。
 こんな筈では無かったのだ。
 私は手にしていた手紙を握り潰して捨てた。
 そして時は静かに流れて行った。
 アキが帰国する気配など微塵も感じさせずに。
 いつしか私は立派な皇太子として認められ、妃であるサオリが身籠ったと知った。
 子供が生まれれば私は国王となる。
 偽りの国王の誕生となるのだ。
 こうなる事を願っていた筈なのに心は満たされない。
 アキの苦痛に歪む顔が足りないのだ。
 私はアキの不幸を願わずにはいられない最低な人間に成り果てていた事に気付き愕然とした。
















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存在証明 39


 船が海の向こうに見えなくなって、見送りの人々も波が引く様に帰って行く。
 私も帰ろうとしてふと横を見ると、叔父が感慨深げに海の彼方を見詰めている。
 帰らないのかと声を掛けようとしてやっぱり止めた。
 私の視線に気付かない叔父を残し、私は一人海に背を向ける。
 私は”アキ”だ。
 皇太子としての仕事が山の様にある。
 そして”アキ”の結婚式も目の前だ。
 私の存在を脅かすもう一人の存在はこの国から居なくなったのだ。
 皆が私を必要としてくれる。
 もう誰にも何も遠慮する必要はない。
 私は胸を張って城へと戻ったのだった。






 何故今になってその存在を見せ付ける様な真似をするのだろう?
 無事に結婚式も終え、”アキ”としての生活も定着してきたのに。
 私の後ろには常に本物の影がある事を刻み付けたいのだろうか?
 それともやはり”アキ”に戻りたいのだろうか?
 今は自分の思い通りに好きな人と共に旅に出て、充実した楽しい日々を過ごしているのだろう。
 だが今迄何不自由なく周囲からもてはやされて育ったアキが、見知らぬ土地での慣れない旅路に不自由で辛い思いをするのは目に見えていた。
 好きな人とずっと一緒の生活に目がくらみ、初めのうちは楽しくても、そのうち不都合が出てくるだろう。
 そうなった時、アキはこの国に戻って来るだろう。
 そして私が手に入れた”アキ”の座を簡単に取り戻すだろう。
 そんな事はさせない。
 アキが戻って来た時、アキがアキに戻れない程の違いを確立しておこう。
 そしてアキには”メイ”として日陰の存在の人生を歩んで貰おう。
 私の苦しみを思い知るが良い。
 それが私の復讐だ。
 私はアキが戻って来た時に簡単に入れ替われない様、これまで以上に仕事に精を出し、サオリとの絆を深めた。
 早くその日が来る事を願って。
















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存在証明 38


 そしてアキの生活に慣れた頃、”メイ”の旅立ちのの日が決まった。
 それに伴い、”メイ”の壮行会が開かれる事となった。
 それまで二人が共に顔を合わす事は無かったので、比較され正体がバレる様な事は無かった。
 だが今回はそうはいかない。
 主役の”メイ”は勿論、兄弟で皇太子でもある”アキ”も必ず出席しなければならない。
 二人を同時に観察する事が出来るのだ。
 違和感を感じる者が出てきてもおかしくない状況だ。
 今迄以上の緊張に襲われたが、メイと出来るだけ距離を取り、アキらしく堂々と振る舞えば誰にもバレない筈だ。
 予想通り、その日も上手くやり過ごす事が出来た。
 大きな山場を乗り越えた後、”メイ”の旅立ちの日まで、私達は誰にもバレる事無く過ごす事が出来た。
 お互い忙しく二人で話す様な機会は無かったが、それぞれがすべき事を理解しやりこなし、その日の朝を迎えた。
 城を出る時アキが私に近寄って来て手を握り締めた。
「メイのお陰だ。ありがとう。後の事は頼むな。」
「うん、心配しないで。」
 私が笑顔でそう言うと、アキの隣に居るマグヌスも一言「ありがとう。」とだけ言った。
 そして皆で港に向かった。
 港には叔父を始め大勢の人が見送りに来ていた。
 ”メイ”は希望に満ちた顔でマグヌスと共に船に乗り込む。
「ありがとうー!行ってきまーす!」
 甲板から”メイ”が大きく手を振っている。
「いってらっしゃいー!」
「元気でなー!」
 人々も大きな歓声で見送る。
 国の代表として派遣されるのだ。
 皆の期待も大きいのだろう。
 前途洋々、船が出港する。
 私は笑顔を張り付けたまま手を振り見送った。


















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存在証明 37


 アキとしての生活に不便は無かった。
 今迄アキと同じ生活環境だったし、勉強もアキと同じ事をしていたのだ。
 アキになったからと言って特別に教わる事は何もなかった。
 だが学園を卒業し、皇太子として城に戻って来たからには、皇太子としての仕事が待っていた。
 新しく経験するそれらの仕事は、難しい事もあったが私にはとても楽しい事だった。
 そして常に気を付ける事は一つ。
 今迄とは違い、堂々とアキらしく活発に振る舞えばそれで良かった。
 私はすぐにアキとしての生活に馴染んでいった。
 一方、”メイ”になったアキ本人はすぐに旅立つのかと思っていたが、何やら問題があった様で、ずっとマグヌスの所に入り浸っていた。
 ”メイ”はタクと同じ植物研究所で働く事になっていたのでどうするのかと思ったが、魔法使いが手を回した様で、”メイ”は国の代表としてマグヌスと共に植物研究の旅に出る事になり、その準備の為研究所に出勤しなくても良くなっていた。
 上手く帳尻を合わせた物だと感心していると、そこへタクがやって来た。
 ”アキ”の護衛なのだから、これからも頻繁に顔を合わせる事になるだろう。
 私はバレないかと緊張しながらタクと向き合った。
 今迄の付き合いの長さから言っても、バレる可能性が一番高いのはタクだった。
 だが、幼い頃から今迄も、タクはアキと私を見分けてはいなかったのだ。
 これだけそっくりなのだから大丈夫。自信を持って振舞おう。
 私は内心ドキドキしながら笑みを浮かべた。
「メイは何故研究所に来なくなったんだ?」
「タクも聞いているだろう?旅の準備が忙しいからだと思うよ。」
 何故私に聞くんだろうかと思いながらも、私は事実を述べた。
 タクは不思議そうな顔をしていたが、それ以上は聞かなかった。
「お前は今、何をしているんだ?」
「私は今から視察に行く所だ。タクも護衛としてついて来るんだろう?」
「護衛…?」
「タクは私の護衛だろ?」
 タクが私をじっと見詰める。
 バレたのかと冷や汗が出たが、タクは何も言わずに私に従った。
 タクにもバレなかったので、私は自信を持つ事が出来た。

















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存在証明 36


 私はアキの部屋へと向かい、ドアを開けた。
 初めて入る訳でもないのに、全ての物が見知らぬ物の様に見えた。
 私は一つずつ触れて、確認していく。
 アキの机、アキの椅子。
 アキの本棚、アキの衣装ダンス。
 タンスの中にはアキの服。
 私はアキのベッドに腰を下ろして部屋の中を見回した。
 今日からここが私の部屋。私の居場所。
 今迄アキの物だった物が全て私の物。
 高揚した気持ちで私はベッドに寝転がった。
 ベッドの天蓋を見詰め、私は手を伸ばす。
 そしてその手をギュッと握り締めた。
 全てをこの手に掴んだのだ。
 世界が一変したのだ。
 これからは私を中心に世界が回るのだ。
 私は腕を捲って、偽りの薔薇の紋章をそっと撫でた。
 これがずっと欲しかった。
 欲しかった物をやっと手に入れた。
 私は全てが満たされたと思った。
 だが何かが心の奥底で引っ掛かる。
 何か大事な物を忘れて来た様な…。
 何だろうかと考えるが、今の私には分からない。
 これは杞憂だと気持ちを切り替え、私はアキとしての生活を始めた。
 アキとして、皇太子として、私は自由になったのだ。

















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