「違う!」と言いたかった。
 「そうじゃない!」と叫びたかった。
 だが俺はグッと言葉を呑み込んだ。
 ナツを傷付け、嫌われ憎まれてでも、ナツには小説を書き続けて欲しかった。
 ナツが俺に未練を残さない様、今ここで全てを清算するのだ。
 俺は口元に歪んだ笑みを浮かべた。
「そうだな。俺は”夏野誠”の才能が好きだったんだな。」
 ナツが一瞬だけ痛そうに眉を寄せたが、すぐに引きつった笑みを浮かべた。
「それならそうと、最初から言ってくれれば良かったのに。そうすれば勘違いする事も無かったのに…。」
 ナツの顔から笑みが消え、言葉も小さく消えていく。
 そしてナツは俯いてしまった。
「悪かった……」
 俺は全ての謝罪を込めて謝った。
 だが当然ながらナツからの返答は無かった。
 そうなるように仕向けたのは俺の筈なのに胸が痛んだ。
 だがその痛みに蓋をして、俺は最後にナツに心からの願いを告げた。
「”夏野誠”の最高傑作が読める日を待ってる。」
 ナツの体がピクリと震えたが返事は無かった。
 俺はナツを暫く見詰めた後、部屋を後にした。
 外に出てナツの部屋を見上げる。
 ナツと過ごした日々は刺激で満ち溢れていた。
 とても楽しく充実していた。
 あれらは夢では無かった。
 現実だ。
 だがそれらも全て終わってしまった。
 最悪の形で俺が終わらせた。
 願わくば、ナツが俺の事など早く忘れて小説への情熱を取り戻して欲しい。
 俺は瞳を閉じて祈らずにはいられなかった。
 そして次に瞳を開いた時にはしっかりと前だけを見据え、俺は振り返らずに歩き出した。
 
















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寒い!寒い!寒いねぇ~!

冷え症なので手足が冷たくてこたつから出られません!(笑)

布団に入ってもなかなか寝付けません。

あぁ、冬だねぇ~。

冬眠したい(笑)