部屋に居る全員の視線がベッドの上のハルの父親の口元に集まる。
母親の持つ器が傾けられ、中の液体が父親の口の中へと流れ込んでいく。
ゴクリと喉が動くのを、誰もが固唾を呑んで見守っていた。
静寂の支配する中、一番に声を上げたのはマユだった。
「パパ、どう?なおった?」
皆が心配そうに父親を見守る。
父親は包帯の巻かれていた腕をゆっくりと動かし、そしてグルグルと回して見せた。
「…、動く、動くぞ!痛くない!」
父親はベッドから飛び起き、床に降りて飛び跳ねた。
「すっかり元通りだ!」
「パパ!よかった!」
マユが父親に抱き付いて喜んだ。
「ハル、お前のお蔭だ。ありがとう。」
父親がハルの頭を撫でた。
ハルは嬉しそうに、そして少し照れた様に頬を染めた。
「よかったな。これでしごとができるな。」
「あぁ。」
父親は照れるハルを嬉しそうに眺めていた。
そしてその視線をカズイに向けると、膝を折って頭を垂れた。
「カズイ様、本当にありがとうございました。この通り元気になる事が出来ました。全てカズイ様のお陰です。どうやってお礼をすればいいのか分かりませんが、出来る限りのお礼をしたいと思います。どうぞ何でもおっしゃって下さい。」
「そんな、おれいなんてけっこうです。」
カズイが慌てて辞退すると、隣でハルがはしゃいだ声を出した。
「なんでもいいのか?おれは…」
「お前には言ってない。」
ハルをピシャリと黙らせると、父親は改めてカズイに向き直った。
「このままでは私共の気がすみません。どうぞ何かおっしゃってください。」
カズイは困ってハルを見た。
ハルは何でも好きな事を言っちゃえと軽くあしらう。
カズイは暫く考えて、そしておずおずと口を開いた。
「あの、それでしたら、ハルくんとともだちになりたいです。」
カズイの言葉に一同は顔を見合わせた。
「おれら、もうともだちだよ?」
ハルが不思議そうに言った。
その言葉にカズイは嬉しそうに笑った。
「これからまいにちハルくんといっしょにべんきょうしたりあそんだりしたいです。ダメですか?」
「べんきょう~?」
嫌そうなハルの声が聞こえたが、両親は喜んでカズイの申し出を受け入れてくれた。
「わ、わたしもいっしょにするー!」
マユの叫び声が聞こえた。
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娘の担任の話。
授業中、先生が「俺が学生の頃は~」って話が横道にそれる事があるよね。
普通は「高校の時~」「大学の時~」って言うんだけど、うちの娘の担任は必ず「俺が通っていた○○高校(←県で一番偏差値の高い公立高校)では~」「俺の母校の○○大学(←有名大学)では~」と固有名詞を使うそうだ。
最近はこんな先生、多いのかな?