「ごめんなさい!」
 カズイは真摯に頭を下げた。
「きょうのじゅぎょうをサボってしまいました。ほんとうにごめんなさい。そして、ハルのパパをたすけてくれてありがとう。ハルも、ハルのかぞくも、みんなみんなかんしゃしてました。わたしもかんしゃしています。ほんとうにありがとう。」
 そこまで言ってからカズイは顔を上げてリンを見た。
 リンの顔からは何の感情も読み取れなかった。
 カズイは一つ呼吸をしてからもう一度口を開いた。
 ここからが本題だ。
 心してかからねば。
「それで、ハルとともだちになって、これからはハルとそのあねのマユといっしょにべんきょうをしたいとおもいました。これからまいにちハルとマユもいっしょにここでまなんでもいいですか?」
「あなたはそうしたいのですか?」
 質問に質問で返されて、カズイは少し困惑した。
 絶対にダメだと言われると思っていたから。
「わたしはハルたちといっしょにまなびたいです。だけど、リンはほかのひとといっしょはイヤなんじゃないかとおもって…」
「どうしてそう思うのです?」
「だって、リンはこのせかいでただひとりのまほうつかいだから、ひとのめからかくれてないといけないのでしょ?ほんとうは、きょうここへハルをつれてきたのもいけないことだったのでしょ?かってなことをしてごめんなさい…。」
「ならばこれからどうなさるおつもりですか?」
「これからはおしろでハルたちといっしょにまなぼうとおもいます。」
「そうですか。」
 何の感情も無い冷たい返事が返って来た。
 今迄気付かない振りをしてきたが、やはり元々カズイの存在はリンにとって迷惑だったのだ。
 最初から家庭教師など引き受けたくなかったのだ。
 だからこんなにもあっさりと認められるんだ。
 そう思うと切なさに胸が苦しくなった。
「さいごにリンにおねがいがあります。」
「何でしょう?」
「わたしにかけている”まもりのまほう”をといてください。」
「何故です?」
「わたしもハルとおなじようになりたいのです。きけんなことをしたらケガをするのはあたりまえでしょ?それなのにわたしはなにをしてもけがひとつおうことがありません。ケガのいたみをしらずにくらしていくのはイヤなのです。ふつうのひととおなじにしてください。」
「…分かりました。」
「ありがとう。」
 カズイはぬるくなったお茶を口にした。
 これで最後だと思うと未練が湧いてきた。
 ここは特別な場所だった。
 安心して、心癒される場所だったのだ。
 いつも見守ってくれているリンの甘い香りに包まれて、いつまでも傍に居たいと思っていた。
 それがいつからか傍に居るのが苦しくなり、今日のハルへの態度で一気に全てが変わってしまった。
 もう傍にはいられない。
 カズイはリンよりもハルを選んだのだ。
 カズイはカップを元に戻し立ち上がった。
「もうここへはきません。いままでありがとうございました。ここでまなんだことはわすれません。」
「お元気で。」
「リンも…」
 涙が滲みそうになって、カズイは言葉を切った。
 そしてやはり無表情なリンから目を逸らし、足早に立ち去った。
「さようなら。おくらなくていい…」
 振り返らずに言った。
 リンが頭を下げる気配がした。
 カズイは走って森を抜けた。















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もしもし?

カズイさん?

リンから離れちゃイカンでしょ!

当初の予定では、小さい頃はずっとリンの傍にべったりの予定だったのに、離れちゃって、これからどうするの?

どうしよう???

こんな筈ではなかったのに!(笑)

ハルくんのせいか!

ハルくん、ここで出したのは失敗だったのか?

あ~、これからどうしようかなぁ~。

まぁ、てきとー物語だから、なんとかなるだろう!

何とかなってくれ!(祈)

ハハハ。

取り敢えず笑って誤魔化しておこう(笑)