カズイは下の階から順に探索していった。
 宿屋のお客は慌てて出て行ったのか、客室は散らかってはいたが荷物は残っていなかった。
 どの部屋も同じ様に散らかり、人影は見えない。
 カズイは余計に不安が募った。
 その不安を打ち消す様に声を出す。
「ハル。マユ。カズイだ。返事をしてくれ。」
 そして最上階へ上がると、どこからか微かな低い音が聞こえてきた。
「誰かいるのか!?」
 カズイは耳を研ぎ澄まし、物音の方へと急ぎ足で進んだ。
 一番奥まったマユの部屋の前でカズイは足を止めた。
 音は中から聞こえてくる。
 それは呻くようなすすり泣く様な低い響きだった。
 人が居る気配に少しだけ安堵し、だが中の様子がおかしい事に更なる不安を募らせた。
 カズイはドアをそっとノックしてから声を掛けた。
「マユ、居るのか?カズイだよ。開けるよ。」
 カズイがマユの部屋のドアの取っ手に手を掛けると、中から金切り声が上がった。
「ダメっ!来ないでっ!」
 カズイの手が止まる。
 やはりマユの声だ。
 だが様子が変だ。
 カズイは様子を窺う様に聞き耳を立て、しきりに声を掛けた。
「マユ、一体何があったんだ?そこにハルやおじさん達も居るのか?」
 だが返事は無く、ドアの中からは先程聞こえていたすすり泣きが聞こえてきた。
 マユが泣いているのか?
 一体どうしたと言うのだ?
 ここにはマユしかいないのだろうか?
 カズイはランプを掲げ、他の部屋を見回した。
 取り敢えずマユは後回しにして、隣のハルの部屋を見てみる事にした。
 ノックと共にドアを開けると、真っ暗な部屋の窓際に月明かりに浮かぶシルエットが見えた。
「…ハル…?」
 カズイの声と共に、ゆっくりと振り返るシルエット。
 だが逆光で顔が見えない。
「…カズイ、どうしよう………」
 今迄に聞いた事がない様なハルの力無い声が耳に届いた。
 カズイは不安に潰されそうな心を隠して、部屋の中に入って行った。
 ランプに浮かび上がるハルの表情は死人の様だった。
「一体何があった?」














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春休み初日から更新落としてしまいました!

ごめんなさい!!!!!

病院行ったり、送り迎えで忙しかったのと、一番の原因は子供達が家に居る事でした(笑)

子供が居る前では書けないし、パソコンの取り合いに負けました(涙)

子供達よ、ちょっと邪魔だわ(笑)



明日も更新落としたらごめんね!

何とか頑張るけど、ゆる~く見守って下さい~(笑)

















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