「事情は分かった。でもそう簡単に結論を出さずに、出来る限りの手を打ってみよう。」
カズイの慎重な言葉にハルはおかしそうに笑う。
「この国を出る以外に何か手があるっていうの?」
「ある。」
カズイは力強く頷いてみせた。
「魔法使いに相談してみよう。」
「魔法使い?」
「昔ハルのお父さんのケガを治して貰ったじゃないか。あの時と同じ様に、何とか”運命を間違えた人”を取り消して貰おう。」
「……そんな事、出来るのかな…?」
ハルの表情に少しの期待が混ざった。
カズイは力付ける様に再び強く頷いた。
「きっと出来るさ。」
そう、出来る筈だ。
だって”運命を間違えた人”なんて、本当はこの世に存在しないのだから。
システムそのものを無くす事は出来なくても、ハルとマユ二人分の情報操作くらい出来るのではないか。
カズイは明るい希望を見い出した。
だが対照的にハルはガックリと項垂れた。
「…カズイ、やっぱり無理だよ……」
「どうして?」
ハルは何がそんなに不安なのだろうかとカズイが首を傾げて聞き返した。
ハルは困った様に苦笑いを浮かべた。
「だってあの時、”一度きり”だと約束して願いを叶えて貰ったんだ。二度目は無理だよ。」
「あの時とは状況が違う。頼めばきっと叶えてくれるさ。」
「そうだといいね……」
そう言うと、ハルは背後の窓の外、細い三日月を見上げた。
「月が出ていたんだね…」
「ハル…」
諦めきった様なハルの態度が胸に痛い。
だがカズイは諦める気など毛頭無かった。
「今から魔法使いの所に行ってくるから待ってて。」
カズイは一方的に言うと、ハルの両手を握り締めてハルの瞳をしっかりと見詰めた。
そしてハルが何かを言う前にその場を後にした。
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今日も何とかクリア!
土日はパパも居るから、余計に書き辛いよ(笑)