とても疲れて帰って来たカズイを待っていたのは父だった。
 父の呼び出しを無視するわけにもいかず、カズイは不機嫌な顔のまま父の元へと向かった。
 父はカズイの顔を見るとピクリと片眉を上げたが、何も追求せずに用件を告げた。
「魔法使いからの預かり物だ。」
 父はカズイの手に透明な涙型のピアスを差し出した。
 それはいつもリンの耳を飾っていた物に似ていて、カズイは目を閉じ握り潰す様にそれを強く握り締めた。
「”薔薇の紋章”の代わりにそれを身に付ければ、この国を出る事が出来るそうだ。」
 やはり、と胸に嵐が吹き荒れた。
 拳を震えるほどに強く握り締め、立ち尽くすカズイをじっと見詰めていた父が、暫くして口を開いた。
「ケガや病気をせぬ様、十分に気を付けるのだぞ。」
「父上…?」
 急に何を言い出すのかと、カズイは不思議そうに父を見た。
 旅立ちの別れの挨拶をした時でも、父はこんな事を言わなかった。
 何故今急にと考え、手の中のピアスを感じて、納得した。
 魔法使いの了承を得たからだ。
 カズイは冷めた様に笑い、手の中のピアスを寂しくなった耳に取り付けた。
「そしてどこかで、私の双子の兄弟に会う事があったなら……」
 父が口籠った。
 言おうか言うまいか、少しの逡巡を巡らせた後、父は目を伏せ静かに言った。
「いつも貰っていたプレゼントの礼を、ちゃんとするのだぞ…」
「はい、わかりました。」
 カズイの叔父にあたるメイさんからは、大叔父を通して何度か本のプレゼントを貰っていた。
 その都度返礼の手紙を大叔父に託していたが、もしも会う事があればきちんとお礼は言うつもりだった。
 そんな当然の事をわざわざ父が言うのが不思議で、カズイは父を観察した。
 父の瞳が落ち着きなく揺れ、何かを言いたそうに口を開閉していた。
 じっと見詰めるカズイに、何かを思い切った様に父がかすれた声で告げた。
「もしも彼に会えたなら、その時は……、色々な話を聞くといい………」
「……? はい、そうします。きっと色々な貴重な体験談が聞けるのでしょうね。」
 父は複雑そうに笑った。













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病院の帰りの駐車場までのわずかな道のり、大粒の横殴りの雨に降られて、娘と二人で一本の傘に入ってたんだけど、ビショビショになったよ(泣)

くっそ~、直前までは降ってなかったのに、雷と共に急に降り出してきたよ!

なんかすっごく悔しぃ~!

すっごく冷たかったし、娘風邪引いたし、散々だった(涙)