「ビックリした~。ここの壁、薄いんだな。」
息せき切って飛び出してきた宿を振り返りながら、ハルがボソリと呟いた。
ハルの指摘に、ヘンな事に気が付くんだなとカズイはおかしくなって笑った。
「でも、ホントに二人はパートナーなんだな…」
ハルの真剣な呟きに、カズイもまた真剣に頷いた。
「ユミさん、幸せそうだよな…」
「あぁ…」
「”運命の相手”って、”パートナー”って、一体何なんだろうな?俺の相手はマユじゃなかったのかな?」
「……」
黙り込むカズイにハルは笑い掛け、気にするなと肩を叩いた。
「これからの旅でゆっくりと考えるよ。それよりメシでも食いに行こうぜ。何か腹減った。」
丁度夕暮れ時で、その案には賛成だと、二人は意気揚々と歩き出した。
ついでにこの国の見物もしようと、人の多い賑やかな場所を目指した。
その中の一軒の店に入り、食事を注文しながら二人は周囲を観察した。
空はどんよりと陰鬱だが、人々の熱気は凄まじく、和の国より活気に溢れた生活が見て取れた。
そして漏れ聞こえてくる話から、この国は今内乱の真っ只中で、その上諸外国にも狙われていて、場所によっては大変危険だと言う事が分かった。
「ギャビーさんが言ってた”この国は今複雑”って言うのはそういう事だったのか。」
「そうみたいだな。危険な所には近付かない様にしよう。」
「あぁ。」
二人は料理を分け合いながら観察を続けた。
そしてカズイは店の奥まった場所でキスする男女を見付けてしまいギョッとする。
カズイの様子に気付いたハルも視線をそちらに向け、目を見開いて固まってしまった。
どう見ても夫婦には見えなかった。
年齢が違い過ぎるし、お互いの表情から愛情や労わりの様な優しさは感じられず、下卑た嫌な雰囲気だけが伝わってきた。
そして決定的だったのは、男性が女性にお金を渡しているのがハッキリと見えてしまったからだ。
二人は腕を組んで夜の街に消えて行った。
カズイとハルは食事も忘れ、息を詰めてその二人の姿を目で追う事しか出来なかった。
二人の姿が見えなくなってからも視線は二人の消えて行った闇を見続け、漸く我に返った頃には食欲など失せてしまっていた。
「……ハル、帰ろうか?」
まだショックの少なかったカズイが声を掛けると、ハルは無言で頷いた。
帰る道すがらにも同じ様な光景を何度か見掛け、その度にハルは驚き固まっていた。
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そうそう、先日娘の家庭訪問があって、その時担任の先生にお茶をお出ししたんだけど、飲んだ先生が微妙な顔をしてた。
そして何度か口に含んだ後、しらじらしく「美味しいです」とか言うもんだから、これはきっと不味かったのだろうと思って、家庭訪問終了後に娘とお茶を入れて飲んでみた。
美味しくなかった…
まぁ不味くは無いんだけど、美味しくない。
いや、美味しいお茶の味を知っているだけに、やはり不味かった。
娘と二人、やっぱお茶っ葉はケチるもんじゃないねと反省した(笑)
今年の担任の先生とは色々あって、娘も私も好きな人じゃなかったので、お茶を買う時一番安いものを買ったのだ。
こんなにも不味いとは思わなかった(笑)
いくらなんでも担任に申し訳なかった。
先生、ごめんね。
今ここで謝っておこう(笑)